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「さらったのは、今までと同様、珍しいものを欲しかったからね。これは簡単よ。それからすぐに返したとあなたは言ったけど、場合によっては取り返しに来るとは限らないわ。今までだって、例え親兄弟が目の前でさらわれたって、私と対決することを恐れて、皆取り返しに来なかったもの。あなたたちは相手が私とわかってても、取り返しに来たでしょう?だから、まあ、あなたたちの勇気を称えて、素直に返したのよ。─色々言いたいことがあるのはわかるけど、まあ、ここではそういうことにしておいて」 レイラリアのその最後の一言に、オリヴィアも苦笑を返すしかなかった。確かに、色々言いたい。まだ、色々変えてやりたい部分も多い。それは、これからゆっくりだ。 そして、レイラリアは、下界はかなり空気が悪いからと、飄々と言って、また瞬間移動で、山へ帰って行った。 それを見届けた後、思わず、ルイやミナたちの膝が、計ったように同じタイミングで力がぬけ、皆へなへなと座り込んだ。 「姉さん曰く、あなたたちの勇気を称えて、マーサを返してくれたそうよ。まあ、良くやってくれたわ」 ルイが力なくつぶやいた。 「ここまでの旅は、結果的に、予定より速くすみましたけど…。気分的には、普通の旅の、倍は疲れました…。できれば、もう二度と、経験したくないですね」 ニングルたちも、ルイの言葉に同感のようで、何度も頷いていた。 オリヴィアもルイの言葉に同感だったので笑顔になったが、ふと、まだ、真朝たちが元の世界に帰れるかどうかは、まだわからないことを思い出した。 だが、それは間もなく、良い結果が出た。 先ほどの奇跡の儀式は、二人が元の世界に戻れるかどうか、神に尋ねてみるものだったのだ。 二人とも、帰れることになった。 どうやら、〈もう一人の私〉を読んでおいて、良かった、ということらしい。 それぞれの名前を書いたメモ用紙を用意しておいたり、元の世界で造られたもの、たとえば服などがあったり、また、元の世界の神様を現す何かを、真朝たちの場合はお守りだったが、とにかく、そういう類のものを持ってきた結果、より少ない奇跡の力で、簡単に返すことが出来るらしいのだ。 「先生」 約一時間後、真朝は神殿長に言われて、元の世界の服に着替えた後、神妙な顔でメイドの服をオリヴィアに渡しながら言った。その傍らには、やはり元の世界の服に戻った夕真が、少し泣き出しそうな表情で立っていた。
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