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2007年2月12日UP 「そうか…。彼等は、南へ行くことになったのか。残念だな」 ここはダークスフィアにあるディラントの執務室。 彼はアスファから、獣の牙の今後の動向について、報告を受けていたのだった。 その席で、彼は、リュースたちがここベルディアの獣の牙を発ち、南クリスタニアへ旅立つことを知ったのだ。その後に思わず口をついて出たのが、先ほどの言葉である。 「御意」 ディラントのその言葉に、アスファも心から頷いた。彼は単に仕事上の関係だけではなく、リュースたちと個人的に仲が良かったのだ。 「もう獣の牙では、新団長が決まったのか?」 「はい」 「どんな男だ?」 ディラントの興味深そうな表情に、アスファは思わず苦笑した。 「今度の団長は、リュースとはかなり違う、と言わざるを得ませんね」 その言葉と、アスファの先ほどの苦笑から新団長の人となりを察したディラントは、やや失望の光を瞳に宿した。但し言葉では、 「ほう?有能そうかね?」 と尋ねる。 「そうですね」 その言葉に、アスファが言葉を選んだ。 「リュースは、良くも悪くも団長然としていました。なんだかんだと決断力はあるし、人を魅了する力があるんです。 ところが、今度の団長は…人当たりはいいのですが…何と言うか、腰が低すぎるきらいがあるというか」 そう言い、アスファはため息をついた。 「あっははは。なるほどな。まあ…大体想像はついた。ベルディアの獣の牙の団長は、腰が低い方が外交が巧くいくだろうという、獣の牙の上層部の判断かな?」 「まあ、彼も腰が低すぎますが、それも巧く使えば欠点ではありません。他の能力は高いかも知れませんし。様子見といきましょう」 「そうだな。新団長がいい意味で我々を裏切ってくれることを期待しよう。しかし、それにしてもリュースが移動したのは残念だな。もしこのままとどまっていれば、何か良い縁談でも紹介してやったものを」 ディラントのその言葉に、アスファは思わず目を見開いた。 「そんなことを考えていたんですか?」 ディラントは笑いながら頷いた。 「まあ、縁談を持ち込んでやっても、政略結婚だと嫌がられるとは思うがな。いや、その前に、あのくらいの男が自分の跡取りなら、私も色々と安心できるのだがね」 彼の言葉の最後には、アスファも頷いた。 「なるほど。確かにそうですね」 が、すぐにアスファが、どこかいたずらっぽそうな表情で、ディラントを見つめた。 「しかし、ディラント。暗黒の民の貴族の娘で、獣の牙に嫁いでも良い、と言える方が果たしていらっしゃるでしょうか?それに、もしいたとしても、リヴリアがその話を果たして承知するでしょうかね?」 「─リヴリアか」 ディラントもその名前を聞いてあることを思わず想像し、ふっと噴き出した。 「そういえば、あの娘がいたな。いや、アスファ。リュースの縁談の話は忘れてくれ」 「承知いたしました」 アスファも可笑しそうに笑いながら、頷いた。 |
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あとがき …一年ぶりのクリスタニアでございます。 しかも一年ぶりだというのに、主役が出てこねえ…!!(←笑;) 騎士王であるディラントさんにはお子さんがいないようですが、もしかしたらリュースのことを、こんな風に見てたんじゃないかな〜と思って書きました。 |
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